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感想『スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム』"特殊効果"に騙されるな!【ネタバレ注意】

 

どうも黒輔です。

 

6月28日(金)世界最速公開となった『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(原題『Spider-Man: Far From Home』)。『アベンジャーズ/エンドゲーム』で完結したMCUフェーズ3のエピローグとなる作品。さっそく鑑賞して来ました。

 

今までのスパイダーマン映画に比べて若さ、未熟さ、可愛さ(!?)が強調されているMCUスパイダーマン。今回も高校生ならではのロマンスや葛藤、そしてヒーローへの道が描かれていてとても楽しめました。ロマンスシーンが絶妙でこっちがムズムズするぐらい。あの2人お互い不器用すぎるんだものーそこがもー。そして、「一体何がヒーローをヒーローたらしめるのだろうか?」という点がこれまでのヒーロー映画とはちょっと違ったアプローチで描かれているのがとても面白い。最後にクリフハンガーもあり、ほんとうにどうなっちゃうんだろう今後。

 

以下は今作及び『エンドゲーム』ネタバレ注意

 

Spider-Man: Far From Home (Original Motion Picture Soundtrack)

 

どこへ行っても彼を思い出す EG後のMCU

序盤の「エンダーーーイヤーーーー」はすべり笑いポイントなのか悲しむポイントなのか・・・ちょっと感情が迷子になったのですが・・・人類の半数を取り戻す戦いで、アイアンマン、ブラック・ウィドウ、ヴィジョンは戦いで死亡したことが世間的にも認知されており、キャプテン・アメリカも表向き亡くなったことになってるっぽいですね。気になったのはハルクやホークアイがどうしているんだろう、ということなんですが、引退状態なんですかねー。有事には「戦わずに何してるんだ」とか言われてしまいそうですけど。

 

特にトニー・スタークの影響力は死後も絶大(良くも悪くも...)。何せ「たとえ死んでも僕はヒーロー」などとガジェットにつける男。E.D.I.T.HはEven Dead, I'm The Hero. の略称でいいんですかね?よく聞き取れなかったのですが。

 

Everywhere I go, I see his face. のセリフはピーターの心情の比喩かと思いきや、教室にもストリートにもアイアンマンの絵、旅行先の駅や空港にはトニーを悼む写真、機内映画には「トニー・スターク物語」なる伝記映画まで。発明家・社長・大富豪、そしてアイアンマン。「あ、トニーってあの世界でめっちゃ影響力あったんだな...」とありありと分かる良い演出でした。映し方も「ここにもトニーの写真ありますよ!」じゃなくてさりげなく、そこにあるのが当たり前みたいな感じでしたよね。それにしてもまた悲しくなった・・・

 

フェイクまみれの世界 敵か味方かミステリオ

敵でした(笑)あからさまに映画の中盤でエレメンタルズを倒すから、おかしいなと思ったんですけどやっぱりミステリオが黒幕だった。それにしてもまたもや!トニーの関係者とはねー・・・しかも率いていた部下もトニーの関係者。まさかアイアンマン1でオバディアに詰め寄られてた人が再登場するとは思わないやん。(同じキャストなのかな?)この人に至ってはほんとにとばっちりからの逆恨みでしかないよね。ミステリオも大概逆恨みっぽいけど。

 

原作でのミステリオは元々スパイダーマンに汚名を着せ自分がヒーローになろうとした、特殊効果や変装を用いて戦うキャラだそうですが、それを概ね踏襲しつつ、現代風に高度なドローン及びVRモーションキャプチャの技術を駆使していたのが面白い。そんなわけでミステリオが「異世界のヒーロー」であることもウソで、エレメンタルズも作った映像だった。(破壊はドローンによるものだった)そんで、当のミステリオ・・・というかベック本人はモーションキャプチャ・スーツを着てその辺を歩いているだけなのでした。なんと滑稽な!

 

これはねーなんか、何でもCGで作っちゃう今の映画に対する皮肉めいたものを感じました(笑)特にスーパーヒーロー映画にCG、VFXモーションキャプチャは不可欠。我々が見ている映画も、そういうものの塊。アイアンマンのアーマー、スパイダーマンの出す糸、そういう「ヒーローをヒーローたらしめる外見」は言わば全部作り物。だがしかし、(ベックの最期のセリフの通り)「人々は信じることを、求めている」。だからそういうものを僕含めてありがたがって観にいってるんですね。作中のピーターよりも僕たち観客に重くのしかかってくるような問いでした。あとからジワジワ効いてくるなあ。

 

ちょっと深読みですが、いわゆるフェイクニュースへの警鐘も感じました。トランプ大統領を罵るオバマ前大統領の「フェイク動画」が作られた(元々フェイク目的で製作・公開されたもの)のをご存知ですか?技術の発展やAIの進化により、このようなニセ動画は簡単に作れるようになってきています。今回の『ファー・フロム・ホーム』でもベックが作ったニセのVR映像がそのままTVニュースで報じられていく過程が描かれていました。何回か出てきましたよねTVニュース。仮想の敵を作ってヒーローになり、報道はウソと真実が織り交ぜられていく。そして2つのポストクレジット・シーンでも... 

 

wired.jp

news.yahoo.co.jp

 

鉄の意志、ヒーローの資格

トニーの死、後継としての重圧、MJに近づきたい気持ち、色々と精神が不安定になってムズムズ(スパイダーセンス)が使えなくなってるピーター。メイおばさんバナナ投げるの良くないよ笑

 

人々とトニーの期待に応えたい、でも1人の人間としての気持ちもある。トニーはE.D.I.T.H.を遺してくれたけど自分には相応しくないのではないか・・・ トム・ホランドの繊細な演技力も相まってここがとてもよく描かれていました。ベック・・・というかジェイク・ギレンホールの方がグラサン似合ってるってのもズルいよなあ。良いキャスティング。

 

ミステリオが見せた幻も凄かったですよね。映像的にもセンス的にも。ハンドメイドスーツまで出てくるとは。たくさんのスパイダーマンが出てきてのしかかってくるところとかホラーみたいで怖かった(粉蜜柑)トニーの墓やらアイアンマンゾンビやらもいい感じにミステリオへのヘイトを溜めさせてくれるいい演出でした。

 

精神的にメッタメタになったピーターを諭してくれたのは、前作でも登場したハッピー・ホーガン。トニーの専属運転手で、演じるジョン・ファヴローは『アイアンマン』の監督。作品の内外で「アイアンマン」を見守ってきた男。そんなハッピーが今度ピーターを見守っていく。アップグレードスーツを製作するピーターの姿を感慨深そうに眺めるハッピーの表情ですよ。間違いなくトニーとピーターを重ねて、優しげに微笑んでいたあの姿は、アイアンマン好きにとって一番の名シーンだったかと。スーツが作られていく過程をジックリ見せてくれるのは『アイアンマン(第1作)』を思わせるシーンでもあり、ピーターが誰の真似でもない「スパイダーマン」になる第一歩。泣けるなあ。久々にああいうシーンが見られてワクワクしました。キャップとソーへのオマージュもグッときた。

 

歪んだ承認欲求の為アイアンマンになろうとしたミステリオと、ヒーローたらんとしたスパイダーマン。フェイクの映像に打ち勝つのが、視覚に頼らず復活したスパイダーセンスによる戦闘法というのも納得感があって最高だった。表現も見事。

 

さてヒーローに必要なのは、言うまでもないですがヒーローたる精神ですよね。確かにヒーローの映像は作り物、ウソかもしれない・・・でも描かれるヒーロー精神は本当、真実なんだよと。現実にあるもの、あるべきものなんだという熱いメッセージを送ってくれる、そしてこれからもヒーローは立ち上がっていく。そんなスパイダーマンの物語でした。

 

今後のMCUはどうなるのさ

最後のスイングシーンいいなあ、あPS4版っぽいネタあるな・・・と思ってたらなんですかあのクリフハンガーは。やりやがったなミステリオ。次回作どうしちゃうんですか。そして出たなスパイダーマン大嫌いおじさん!Jジョナジェイムソン!ゲーム版では散々スパイディをディスってくれやがって!しかもライミ版と同じキャスト!

 

さらに今作のフューリーとヒルは実はスクラル人が化けていた影武者だった!!僕はてっきり「え、ヒルって実は宇宙人だったん!?」と勘違いしましたが、ホンモノのフューリーは宇宙にいて、あのフューリーはなんと『キャプテン・マーベル』に出てきたタロス将軍でした。・・・なんじゃそりゃ!確かに今作のフューリーはいつにも増してマヌケだなとは思ったんですけどね・・・いつからタロスが化けていたんだ・・・?というかフューリーおじさんは宇宙基地でスクラル人率いて何をやっているんですか??あと「フェイクに騙されるな」っていう映画の最後にこういうことするのはホント人の心がないと思う(ほめ言葉)

 

笑えるシーンもたくさんあった本作だけど、次回作はつらい事になりそうですね。ピーターとMJ・・・どうか幸せになって欲しい・・・

 

そしてMCUとは1年弱のお別れ。デシメーション後も世界はある。災害があっても人々は生きる。映画が終わっても生活は続く。気になる点はたくさんありますが・・・今は余韻をかみ締めましょう。そしてインフィニティ・サーガへ最大限の感謝を。

 

 

 

 

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