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感想『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻』後半戦&戴冠式:失意の庭と聖剣作成【FGO 2部 6章】

 

なぜ、君はそれでも立ち上がるのだろう?

 

私は、『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』で描かれていたものを、このように受け取りました。

 

劇場版ソロモンの記事で、「奈須きのこは人間賛歌を描くために、物語の過程で最大限の絶望を登場人物に与える」という趣旨の文章を書いたと記憶していますが、今回もかなりえぐかった。

 

というわけで、スマホゲーム『Fate/Grand Order Cosmos in the Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻』後編&崩壊編について書いていきたいと思います。

 

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失意の庭

主人公を責める、失意の庭。

アルトリアの心身を削る、妖精たちの身勝手な期待と失望。

 

失意の庭、ひどかったなぁ。悪辣。「ほかに出来る人がいないことを、引き受ける」といえばカッコいいけれど、「ほかに出来る人がいました」となったら、自分は捨てられるという、絶望。周囲は勝手に期待して勝手に失望して... その後はいったいどうなるのか?そもそも、7つの異聞帯を消し去った後、世界は元に戻るのか?

 

「平凡なマスターとして描かれている主人公はもはや平凡ではない」というのは、賞賛でもあり、畏怖でもある。あそこまで立ち上がれてしまうのは、ちょっとおかしい。衛宮士郎が「人間のふりをしているロボット」であったように、FGO主人公も「(精神的に)平凡なふりをしている全然平凡じゃない人」になってしまった。これを改めて突き付けられたのは、とてもえぐいと思います。

 

それではなぜ、主人公は立ち上がれるのだろう。

 

他の何を取りこぼしてでも、裏切れないものがあるから、そして、まだ出していない「生きたい」という願望の理由、答えを見出さないといけない。

 

それが、主人公の答えでした。

 

私たちも、もう頑張れなくなってしまう時があると思うんですよね。別に自分じゃなくてもよい仕事をしてるとか、目標があるけど、思ったように成果が出ないとか。でも、なぜそれでも生きているのか?あまり高尚な答えは出せませんが、やっぱり「まだ終われない理由」「裏切れないもの」、「嘘偽りのない躍動」がみんなのどこかにあるんじゃないでしょうか。

 

たぶん、何か大きな目標でなくてもいいんですよね、「これをやっているときは何だかんだで楽しい」とか、「まだ食べてない料理がある」とか、「推しキャラの精神に反するようなことをしたくない」とか。(むろん、夢がある人であれば、それそのものやライバルの存在が「裏切れないもの」になるでしょうね)

 

それは見方を変えれば呪いになるかもしれないけれど、それでもと立ち上がる人間の姿には励まされるものがありました。だから、奈須きのこ作品が好きなんだよ。

 

聖剣作成

平凡な人間として生まれた主人公とはまた違って、アルトリアは最初から「そうであれ」という目的達成のために生まれたいのちでした。

 

ただ、彼女が不幸であったのは、(かのソロモン王とは違って)怒ったり、悲しんだりする自由があったことでしょうか。本来は平凡であるのに、身勝手な期待をかけられ、失望され、そもそも妖精の裏表が見えてしまうという能力持ち。誰もが本音と建て前を持っていますが、すべて読めたら心がなくなってしまう...そんな彼女は、「遮断する」ことで自身の心を守っていたのでしょうね。

 

さて、話題は戻って「救い」を背負わされた彼女。本人からしたらいい迷惑です。世界の命運がかかっていて、「自分の夢を勝手に子供へ託す親」のウン十倍も迷惑だと思います。なにせ、1万4000年前の「ただのサボリ」でここまでの事になってるんだから、最悪ですよね。(ただのサボリっていう下らない理由がより絶望感、妖精への失望を際立たせてるよなぁ)思い出すのは、つらい記憶ばかりで、彼女にあたたかい春の記憶はなかった。

 

それでもアルトリア・キャスターが使命を果たしたのは、彼女の裏切れなかったもの、いつも自分を見ている星は、あの手を差し伸べてくれた妖精。心根がやさしいアルトリアだからこそ、あの妖精を裏切れなかったに違いありません。

 

そして村正ァ!!!そういうところだぞァ!直前まで、「聖剣になるアルトリアを村正が剣の形に鍛えるのか・・・?」と思ってましたが、でも彼ならそうするよなぁ。モルガン打倒という仕事を果たした後も付き合ってくれて、最後にはああいう行動をとるというのは、まさにエミヤと士郎の中間というか、ラストで士郎のどうしようもないお人好しの側面が出てきたな~と勝手に思ってました。

 

今後のFGOについて

さて、アヴァロン・ル・フェはもっとたくさんの語り口があるのですが、ちょっと拾いきれないボリュームなので、一番書きたかったところだけ書いていったん失礼。

 

6周年を迎えたFGOなんですが、そろそろ完結が見えてきたなぁと思います。シリーズで超重要なエクスカリバーの誕生の秘密に迫ったり、キャスター・クーフーリンの正体が明かされたり... 

 

たくさん疑問はあります。

7つの異聞帯を消し去れば、白紙化地球はどうなるのか?

→提示された通り、元に戻るだけの根拠・理由はない。

いまだに燃え続ける特異点Fは?

→キャスター・クーフーリンが再び絡むか。

カルデアの者」はどう絡むのか?

→まぁ十中八九、ゲーティアなのでしょうが、なぜ・なんのため生きている...?

信用できないカルデアメンバーとは?

→ホームズかダ・ヴィンチなのでしょうが、では彼・彼女は何のためにカルデアを裏切る?

残りのビーストは処理されるのか?

→Ⅴ、Ⅵが残っているはず。

う~~んわからん。ともかく、のんびり待つしか。

 

 

アヴァロン・ル・フェ、とても心を痛めつけられたけど、「それでも生きる理由」を考えさせてくれた一幕でした。ひと掬いの希望を胸に今後も頑張っていきましょう。