黒輔処理場

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【ネタバレ注意】『映画 刀剣乱舞』初見感想 「正しい」歴史とは何か

どうも、黒輔です。

 

「今年は実写邦画もなるべく見たい」という宣言を年初めにしました。

 

先日はその通り、実写版『刀剣乱舞』を鑑賞してきました!(実写化系映画をアニメ以外のくくりにしていいのかは置いておいて...)

 

総合的には、けっこー良かったと思います。

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ゲーム『刀剣乱舞』についての知識は正直ほとんどありません(笑)

2017年に放送してたアニメ(ufotable版)をなんとなく観てたぐらいですね。

あと僕は一時期「艦これ」をプレイしていたんで、それの男キャラ版という勝手なイメージ。

 

なので知識不足についてはご容赦ください。

 

基本設定・構成について

全体的な構成の話なんですが、開幕の数分で「本能寺の変」という誰もが知ってる歴史事実をベースにしながら、テンポ良く基本設定を説明していたのが印象に残りました。

 

刀剣男子は「刀の付喪神」という設定だったのですね。(某お船のゲームはそこら辺が曖昧だった...)

何でも擬人化する風潮と「八百万の神」信仰はしばしば結び付けて語られますが、よりその信仰に近い(というか直接的な)アプローチ。

 

刀剣男子の主役格がジジイを自称する若い人でマスター的な人(審神者)が穏やかなおじいさんなのも好対照だった。

さらに終盤で未来がある幼い審神者に継承されるのも綺麗にまとまって良い。

歴史ものとしては良い落としどころだったかと。

 

開幕で「本能寺の変」の介入から始まり、いったん解決と見せかけて実はもっと裏があって真の解決へ導く、というのは分かりやすいし、創作上の「本能寺の変の真実」も個人的にかなりストンと腑に落ちて良かった。この点は後述します。

 

しかし、「本丸が襲撃されてやばいぞ!」のくだりには正直首を傾げました。

三日月宗近審神者じいちゃんの信頼関係を描きたかったのは分からんでもないんですが、「大量の敵に取り囲まれてるが留守番の2名だけでどう守り切ったのか」「遡行軍の攻め方がガバガバすぎじゃあないのか」「登場人物の移動が忙しすぎじゃないか」「助けに来たぞ!展開を2回やるのはどうなのか...」などなど。

 

そういえばボロボロになった三日月が飲んでた回復アイテム。

あの回復薬グレート的な奴がゲームそのまま出てくるのかどうかちょっと調べてもよくわからなかったのですけど、もしそうなら「映像にして様になる奴」で良かったなと。

風呂に入るとかバケツ被るとかよりいいよね!

(もしかしてアレは艦これにおける間宮アイスにあたるものだったのか?)

 

鈴木拡樹さん(三日月宗近)と岩永洋昭さん(日本号

キャストの話。

 

あまり有名俳優を起用するとギャラが高いからか、はたまた俳優のイメージ>キャラのイメージになってしまうからか、刀剣男子にはよく邦画に出てるような俳優さんは起用されていません。舞台を中心に活躍してる方が多いみたい。

 

しかし主演の鈴木さん、『仮面ライダーディケイド』にゲスト出演してまして。(「ブレイドの世界」剣立カズマ役)

いや~あの頃の役とは全く違う、老練な演技をされていて驚きました。

 

今ゲーム版の音声も試聴しましたが、心なしか出演声優の声鳥海浩輔Fateロビン・フッドジョジョのミスタなど)似せていらっしゃいますね。

 

確か鈴木さんはディケイド出演にあたって、たった2回しかない自分の役の元ネタである「仮面ライダーブレイド」を4クール分試聴したというエピソードが有名です。

10年経過した今もきっとその姿勢は変わらないのでしょう。

普段は時間の制約上、特撮以外の実写ドラマをそこまで見ないので、こういった思わぬ再会は嬉しくなるものです。

 

そんな鈴木さんとは対照的に、「あの時の演技のまんまだな!」と笑っちまったのが槍・日本号役の岩永洋昭さん。

宝条永夢ゥ!の岩永さんではなく、『仮面ライダーオーズ』出演「仮面ライダーバース/伊達明」だった方の岩永さんです(笑)

「いいねぇ~...」とか演技の仕方がオーズの伊達さんそのまんまなんですよね・・・

「不動ちゃん」と呼びかける日本号さんは「後藤ちゃん」と呼びかける伊達さんソックリで1人で笑いそうになりました。

劇場の9割を埋める女性に不審に思われること請け合い

 

もし『オーズ』未見の方で岩永さんが気に入った方はよろしくお願いします。ちょうどメイン脚本もこの映画の小林靖子さんですからね。

 

第24話「思い出と恋と海のコンボ」

 

第46話「映司グリードとWバースとアンクの欲望」

 

余談ですが、審神者堀内正美氏も『仮面ライダードライブ』のロイミュード001と違って優しい役柄で良かった... 

 

2.5次元の是非 

これを書くと好きな人に怒られそうなんですが、「実写化系の映画はやっぱり、髪型とかを現実ナイズしていいんじゃね?」とどうしても感じてしまいましたね。

 

もちろん、多くのファンには受け入れられてるようなので、そこにあえて真っ向から対立するつもりもありませんが、個人的には、二次元イラスト特有の髪型をそのまま立体化すると結構ヘンに見えちゃう派。

見慣れてないだけかもしれませんが。

 

ただ、現実向けに翻訳しちゃうとそれはそれで「アニメと違うじゃねーか」と叩かれるので、まだまだ実写化系映画は世知辛いですね。

刀剣乱舞シリーズはだいぶ上手くやってる&ファンも受け入れているようで羨ましい。

 

正しい歴史とは?

 漠然と歴史好きだったのが高じて、大学でも史学科にいる私としては、信長と三日月の問答や「秀吉によって隠蔽された事実があった」という仕掛けについては、反応せざるを得ません。

 

歴史というのは事実そのものではなく、人によって語り記されるものなので、そこにはどうしても「主観」が入ります。

どれだけバイアスを排したつもりでも、その人自身のバックグラウンド、および時代背景による無意識の影響があります。

ある歴史家はこれを否定し、「客観性」のみで歴史を記そうとしました。またある歴史家はこれを肯定した上で主観性を見極めるべきだとしました。

 

歴史とは何か (岩波新書)

歴史とは何か (岩波新書)

 

 

権力者によって事実が歪められることはよくあります。

好例としては、中国の二十四正史。唐王朝以降は国家事業としての歴史編纂が確立されました。

それは文字通り、「『時の権力者にとって』正しい歴史」であります。「都合の良い」と言い換えると分かりやすいでしょうか。

 

王朝が成立すると、その手で滅びた前王朝の歴史が編纂されます。

すると、当代の正統性を主張するために前代の王朝に対して否定的な歴史書が出来上がるのです。

 

ちなみに二十四正史で最新のものは清代につくられた『明史』です。

清王朝が滅亡して100年ほど経ちましたが、「正式な」『清史』は未だ世に出ていません。

 

というのも、台湾の国民党政府が『清史』を編纂しましたが、中国本土の共産党政府もこれに対抗して『清史』を編纂中だからです。

 

お互い、歴史を道具として政治的主張に利用しているといったところでしょうか。

 

なので、仮に「信長が生存して」「秀吉に殺されて」「その事実が隠蔽された」というストーリー立ては「うまいことエンタメ落とし込んだものだ」と膝を打ちました。

正義の反対はまた別の正義である、というよくある命題にもつながってくるので流石は特撮よく書いてる小林靖子氏だなと。

 

なぜ三日月宗近だけがそれを知っているのか?という理由づけも、刀剣乱舞特有の設定と絡んでいて上手。

視聴者の裏をかくのがうまいんだからもうー。

 

 予想より文章が長くなってしまいました。ここまでお付き合いいただいた方ありがとうございます。

 

そして門外漢なので...色々ごめんなさい。結構好きな映画ですし、刀の歴史にも興味がわきました。

 

今年は洋画に偏らず邦画見ていきたいので、なるべく時間とお金を作ります!(笑)

 

 

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