どうも、黒輔(@KuRoSuKe404)です。
色褪せない変身ベルト
仮面ライダーの象徴たる変身ベルト。もちろん、玩具展開においても主力商品となります。ここ10年くらいでは変身ベルトに付随する「アイテム」も、同じく主力商品となりました。コレクション性を強調し、「劇中と同じものが欲しい」「集めたい!」という心をいい感じに刺激してくれます。
思えば変身ベルトは、いかに「劇中のギミックを再現するか」という点に苦心し、そして進化の一途を辿ってきました。そして、放送終了から10年、15年経って、当時の技術では不可能だったギミックが再現されたベルトが発売されることも。その事実が、「『変身』は色褪せない」ということを感じさせてくれます。
今回メインで取り上げたいのは、2004年放送の『仮面ライダー剣』の変身ベルトであるブレイバックル。15年経った今年、大人向けシリーズ「コンプリートセレクション・モデフィケーション(CSM)」で発売されました(受注終了・7月発送)。
これ以前にも数多くのCSMが発売されファンを驚かせていますが、僕はこの「CSMブレイバックル」の発売をもってようやくブレイバックルは完成したといえる、と思っています。さらに言えば、『変身ベルト』それ自体がこのCSMブレイバックルを以って完成したとも言えるでしょう。
変身ベルトの進化の歴史を軽く振り返りながら、CSMブレイバックルという商品の意義についてお話しできればと思います。
↓忙しい方はブレイバックルの話まで目次から飛んでくださいな
※2019.5.10 加筆修正済み
変身ベルト史・昭和ライダー編
先ほども書いたとおり、玩具としての「変身ベルト」の歴史は、「いかにしてTVを再現するか」という戦いの歴史でした。
最初の方に出た変身ベルトの玩具は、光らない回らないでなんともお粗末なものだったんだそうです。そこで、ポピーという玩具会社の社長が「光る・回る」仕様に改造したところ、近所の子供の間で大評判に。このエピソードが、「光る!回る!変身ベルト」の発売につながったんだとか。これが380万個も売れたというのだから驚きです。
これ以降、変身ベルトにギミックを付加し、TV番組でかっこよく演出。(Xライダーのライドル、ストロンガーのコイルアームなど)それを再現したおもちゃを売り出す、というビジネスモデルが発展していきました。
しかし、玩具である以上、絶対に何かしらのスイッチを押さなければ変身音を鳴らせません。変身ポーズをとってその後に何かのボタンを押すのはなんとも興ざめ。
その問題の解決手段として提示されたのが・・・「テレビパワー」でした。
テレビパワーDX変身ベルト
変身ベルト史の中でも特筆性があるのがこの『仮面ライダーBLACK』のベルト。
なんと、TVで南光太郎(演:倉田てつを)が変身するシーンの「光」に反応して自動で変身音が鳴るという画期的な代物でした。もちろん、自分でスイッチを押すことでの起動も可能です。最近の玩具でもあまり見ない、テレビそのものとの連動。南光太郎と一緒に変身できる。当時の子供たちはワクワクしたんじゃないでしょうか。
ただ、毎回テレビパワーでは飽きられるとバンダイが考えたのか、次回作『仮面ライダーBLACK RX』にも引き継がれていません。代わりに、ブレスレット型アイテムとベルト本体を電波で連動させるということをやってのけています。「DXドライブドライバー」や「CSMファイズギア」にも通じる発想です。
変身ベルト史 クウガ・アギトと龍騎・ファイズ
2000年になって登場した「平成ライダー」。もちろん変身ベルトも復活です。
クウガ・アギトは中心部が「光る・回る」ので、まだ「元祖変身ベルト」の原型を残しています。・・・大きな転換は、「変身シークエンスの中にスイッチ操作が織り込まれている」ことでしょうか。
クウガの変身ポーズにはご存知の通り、ベルト側面上部の「黒い部分」を押す動作が入ります。もちろんあからさまに押してる感じではなく、あくまで「変身ポーズ」に取り入れています。
とはいえ、改めてみると「おもちゃのスイッチ感」があって「アレ?」ってなるかもしれません。バックル部にある、赤・青・緑・紫のフォームチェンジボタンも、玩具では事前に押す必要があります(TVでは主人公の意思で自在にフォームチェンジするので、操作はしません)
ちなみに、ベルトに取り付ける追加アイテムもクウガが元祖で、のちのライダーに引き継がれています。
アギトの「トリプルフラッシュDX変身ベルト」(オルタリング)はベルト側面全体がボタンになっており、デザインとしてはより自然になっています。カラーリングもよりヒロイックでカッコイイです。
ただ変身ポーズの「最後に腰を叩く」というのはちょっと玩具的な都合が見え隠れしているとも言えます。(その直前までの動作はかっこいいだけに・・・)
さらなる転換点はこの「Vバックル」と「アドベントカード」。従来の「光る・回る」から脱却して、カードデッキをベルトに差し込めば変身完了です。ベルトこそ鏡から出現せず、自分で巻く必要はありますが、「劇中でのギミック・動作」はかなり「玩具で再現可能」になっています。
ドラグバイザーはDXもCSMも持っていましたが、「カードを引き抜いて読み込ませる」→「必殺技の発動」という具体的な操作を再現できるので、なりきり玩具としての楽しさはここで格段にアップしたんじゃないでしょうか。カードの絵柄もカッコイイし、デッキも集めたくなります。
「ファイズドライバー」が大ヒットしたのは言わずもがな。変身や必殺技の発動シーンはカット割りが細かく、購買意欲や再現意欲を刺激します。
DXブレイバックルの欠点
さてようやくブレイバックルの話ができます。この玩具の欠点、というか『剣』という番組の演出上の問題点でもあるのですが、僕が感じら問題点は、「劇中の変身シークエンスを最後まで再現できない」ことかなと。(ブレイバックルに思い入れが深い方はごめんなさい)
人によって意見が分かれるとは思うのですが、僕はブレイドの変身って、畳(オリハルコンエレメント)を走り抜けるところまでが変身ポーズだと思ってます。かなり印象深いですよね。ただもちろん、畳はCGで描写されてるので、玩具では再現できません。ここが、555までと少し違うポイントなのかなと。
あの変身シークエンスはかっこいいし大好きなのですが、同時におもちゃがショボくみえてしまう一因になっているのではないでしょうか。
余談ではありますが、「DXブレイバックル」は「取り合えずレバー引けば『ターンアップ』が鳴る」という今見るとちょっと微妙な仕様ってのもありますね。(子供の頃遊んだときは、それでも十分楽しめたものですが・・・)カード入れなくても、変身後の状態からレバーを引いても、とにかくレバー引けば「ターンアップ」が鳴ります(笑)
「ベルトを締めた時点で待機音が鳴り始める」っていうのは良いポイントなんですけどね。数字としての結果も、あまり芳しくなかったようです。
変身ベルトの完成
変身ベルトが追いかけてきた「劇中再現」という命題は、この「CSMブレイバックル」でひとつの到達点となったのではないでしょうか。
外付けアイテムという形ではありますが、CGだったオリハルコンエレメントを現実世界で再現できるようになったのですから。さすがに、空中への投射はできませんが、ひも暖簾にでも投射すれば走り抜けられるし、入手もしやすいです。
変身シークエンスを最後まで表現できるようになったことで、ブレイバックルは15年越しに完成したんじゃないかな、と。もっと言えば、本当の変身ベルトがここにようやく登場したとも言えます。
さらに変身ベルトは、劇中セリフやBGMを入れることで、「ギミック再現」どころか「世界観の再演」という新たなステージに、既に到達しています。これは非常に興味深い変遷です。仮面ライダーの象徴たるベルトにこのような意味を持たせるとは、最初に考えたバンダイ社員さんは偉大ですね。BGMが有るだけでテンション爆上がりです!
これから玩具に使われる技術もどんどん高度化していくのでしょうか。今はCSMに湧き立ってますけど、これがショボく思えるくらいに進化していって欲しいですね。
今回はここまで。また次回!