黒輔処理場

ゆっくり更新中

【感想】『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』このままじゃヤバイよ日本

AIとか人工知能といったらターミネーターが思い浮かぶ黒輔です。

 

昔から親に「本を読め」と口を酸っぱくして育ってきましたが幼少の僕はさっぱりそれを聞かず、未だに読書に苦手意識を待つ羽目になってしまいました。

今にして思えばなんと嘆かわしいことか・・・もっと本を読んでおけば良かった。

 

最近はそんな苦手意識を払拭するべく読書に励んでいるのですが、今回とても恐るべき本に出会ったのでご紹介したいと思います。(紹介してくれた友人に感謝)

 

 

 

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 

 

はい。最近話題となっているようなので、本屋に行けば目立つところに置いてあることでしょう。気になる方はぜひ立ち読みでもしてみてください。

 

これを読んでいる方は、「東ロボくん」という、AIを日本の雄・東京大学に合格させようというプロジェクトをご存知でしょうか。著者の新井紀子氏はこのプロジェクトのリーダーを務めています。

 

この本は、その新井氏が今後の日本社会に対して鳴らす「警鐘」といっても良いでしょう。AIについて紹介する本というよりは、「これからヤバいんじゃない?」という提言の本です。

 

この本は前半では、東ロボくんプロジェクトの経緯、そしてAIの仕組みと限界について書かれています。詳しくは本を手にとって読んでいただきたいのですが、AIというのは現在の技術の延長において開発を続ける限り、人間の知能を超えるシンギュラリティ(技術特異点)に到達することはないというのです。

 

つまり、人間と対等にロボットがお喋りして、お助けアイテムを貸してくれたり、人間が泣く理由を理解して溶鉱炉に自ら沈むなんてことはあり得ないということです。しょせん機械は、まさに「機械的に」判断しているに過ぎないという所でしょうか。(SF好きだけにやや残念ですが・・・)

 

そんな機械が苦手とする科目は、やはり国語です。しかし、研究者たちの不断の努力によって、それでも正答率を伸ばし続け、センター試験でMARCHに入学できる程度の偏差値に達しました。

 

皆さんはこの結果をどのように捉えるでしょうか。「MARCH程度で」と思う方もいるでしょう。たしかに当初の目的である東大には及ばない達成度です。

 

旧帝大早慶東工大、一橋などの方にとっては「その程度か」と思われてもおかしくないでしょう。しかし、世間一般からしてみれば十分に上位の大学と言えます。

 

odonashi.hatenablog.com

 

私はこの話を聞いて最初「へぇ〜すごいじゃん」なんて呑気に思いましたが、すぐに危機感を感じました。「であれば、それより下の人間はどうなるのだろう」と。

 

いま人のやる仕事を単純な機械が代替したり、AIが人間の業務を助けたり、といったことは少しずつではありますが身の回りで起きているはずです。

 

例えば、映画館のチケット販売員はここ数年で姿を消しつつあり、販売機に変わってきています。またAIを導入する職場も今後増えていくでしょう。つまり、機械に人間が敗北し、職を失う人々で街が溢れるようなことになりかにないということです。

 

「そんなこと言っても機械が人間より凄いのは当然じゃない?」などと思っていませんか?ここでもう一つお伝えしたい事が有ります。新井氏はもう一つ実験を行いました。それは、中高生の国語力・読解力の調査です。この件についても詳しくは本を手にとって頂きたいのですが、一つだけご紹介します(新聞などでも話題になった問題です)。

 

www.nikkei.com

 

どうでしょうか。

確かにぱっと見で分かりにくいかもしれませんが、それでもコインを投げて答えを決めるのと大して変わらない正答率というのは人間として如何なものでしょうか?非常に危機感を感じるべき事案だと強く思います。

 

「どうにも日本語を読めない日本人が一定数いるようだ」というのは生活していて肌で感じるところがあると思いますが、改めて数字で示されると、のど元にナイフを突きつけられたような気分になります。

 

これに関して、(私が塾講師のバイトを通してなんとなく感じたことですが)悪いのは子供たちではないと思います。なにせ、右も左も分からない子どもたちにただ勉強しろとか将来のことを考えよといっても、恐らくは分からないでしょう。

 

子供を持った事がない学生の戯言ですが、もっと保護者が、(学校・塾に放り投げるのではなく)自分の子どもにしっかりと向き合うべきなのではないでしょうか?

そして学校の先生は子どもに「勉強を教えたつもり」になってはいませんか。

どの程度の教師が良い授業をされているのか、疑問に思います。

(ここらへんは教師の過重労働問題とも絡むので一筋縄ではいかないことは承知ですが)

 

この本を読んでいて正直私は涙が出そうになりました。というか出ました。

なんとなく感じていた違和感は今ハッキリとした危機感に変わりました。

とはいえ、私は教職でもなければ文部科学省の官僚でもありませんので、直接事態をどうこうすることはできません。

 

ですが、現状を打破する第一歩は、問題意識を持つことです。一人でも多くの人が危機感を持って、それが声になり、やがて国や社会を動かす力となっていくことを望みます。本の末尾には、実際に読解力が向上した例も載っています。

時間が長く残されているわけではありませんが、希望はまだ残っていますから。

 

稚拙な文章、浅ましい意見でしたがここまで読んでくださってありがとうございました。何か感じられる事があれば幸いです。