どうも黒輔です。
クリント・イーストウッド監督の最新作『リチャード・ジュエル』をようやく観ることができました。いやーよかったですね。近場の映画館でやってなくて、少し遠出して観に行ったんですが・・・十分その甲斐あった映画でした。もっと早く見に行けばよかったー。
どの程度で実話に忠実に基づいているのかは判断しかねますが、リチャードの純朴で正義感の強い人柄や、それゆえに追い詰められていく様子が丁寧に描かれており、「どうやってこの窮地を脱するのか?」と引き込まれる映画でした。でも僕のお気に入りは弁護士のワトソン・ブライアント(笑)
イーストウッド監督の映画は、僕がちょこちょこ映画を観るようになってからは『アメリカンスナイパー』『ハドソン川の奇跡』『15時17分、パリ行き』と観ているのですが、今回も実話をもとにしつつ映画として盛り上げる手腕が大いに発揮されていたと思います。面白かった。
※以下ネタバレを含む感想/評価/レビューとなります。
映画情報
題名 リチャード・ジュエル
原題 Richard Jewell
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ビリー・レイ
原作 マリー・ブレナー『American Nightmare: The Ballad of Richard Jewell』
音楽 アルトゥーロ・サンドヴァル
出演 ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、ジョン・ハム、オリヴィア・ワイルド、ほか
リチャード・ジュエルという男
タイトルの通りこれはリチャードという男の伝記映画なので、彼の人物像と映画の面白さが直結しているわけなのですが・・・。彼はとても強い正義感の持ち主であり、そして他人想い。でも太ってて少し間抜けた雰囲気なので周囲に惹かれたり、警戒されたり・・・という彼のことを冒頭で見事に描写しておりました。
ブライアントの好物を察して引き出しにスニッカーズを入れておくのは、彼の善性の表れでもあるんですが、確かにゴミ箱を他人に漁られたらちょっと不気味に思うかも(笑)そして彼の善意と正義感が走りすぎてしまうところは、まわりまわって彼を一時的に追い詰めてしまったのでした。
それにしても、今作はリチャードの成長過程も見どころでした。最初は「法執行官になる!」なんて言っておきながらビデオゲームに身を委ねていて「大丈夫か?」なんてちょっと思いましたけど、ちゃんと勉強していたし、暴走しがちな点や相手に言いくるめられてしまう点も克服して、FBIの捜査官に反論できていたシーンは感動を覚えました。ブライアントの姿から学んでいたんだろうな・・・
リチャードは良いやつなのにいろいろと誤解されがちな人だけど、彼の人柄の理解者もいて、それが巡り巡って自分を救うことに繋がった。そういうのってとっても素敵だなぁと思うんですよね。
立ち向かうべきはテロなのか?それとも?
痛烈なメディア批判(そして踊らされる大衆も)の文脈も含まれた今作。実在の記者がああやって情報を引き出したかどうかは分かりませんが、やはり怖いですね・・・特に1996年のアトランタオリンピックの時代は、まだインターネットとかもないし、あのように権力に囲まれてはなにもできなかった時代だったと思います。(今でもFBIとか出てきたらどうしようもないかもしれませんが)
今作はテロから人々を救った男リチャードを描いていますが、実際に男が戦ったのは冤罪という理不尽でした。「古き良きアメリカ的精神」に信頼を寄せているかに見えるイーストウッド監督ですが、今回の敵役となったのはまさに国家権力でしたね。なんとな~く監督の思想が見えてくるような気がしますが、知識不足なのでなんとなく止まり。まぁそこらへんの批評はもっと詳しい方にお任せするとして・・・。
それでもなお、アトランタオリンピックの時代から、他人のプライバシーを侵害したり、不安を煽ったりするメディアの悪い部分というのは、いまだに残り続けているのが現状です。ある意味、昔よりひどくなってるかも。そういう時に立ち向かっていく武器というのは、周りから勝ち得た信頼なのかもしれませんね・・・。