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感想『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』【ネタバレ注意】

劇場の上映スケジュールがもはや時刻表となっている今日この頃、皆様お元気ですか。

 

原作の完結から暫く経ちますが、ブームが留まることを知らない中で先日より公開しています『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。無限列車編は鬼滅の刃の中でも一番好きなエピソードなので、公開を本当に楽しみにしていました。

 

コロなんとかウイルスのおかげで外出する人も減り、大作洋画は未だに延期となるなか、公開された今作。マスク必須だったり、ドリンクしか販売できなかったりと、様々な制限はありますが、映画館に映画を見に来る人がたくさんいることを喜ばしく思います。『Fate 3章』の映画がこの状況にも拘わらず1章・2章の興行収入を超えたことも大変良いことだったのですが、これはそれ以上。無限列車の汽笛が劇場の復活を知らせる音になるのだろうか...

 

本編はおよそ2時間となっておりますが、体感時間は良い意味でもっとでした。下弦の壱を倒すまででも1本の話として良くできているのに、その後に突然でてくるアイツのおかげでもうお腹一杯というか、初見の人は特に感情が追い付かないと思います。まじで。真面目な話あり、ギャグもあり、そして見ごたえある戦闘シーンあり。いやー、素晴らしい出来ですよ。

 

余談なんですが、心の折れたおっさんのCVに小山力也氏を充てるの、なんかこう・・・罪深いな。

 

さて、ここからは内容に踏み込んだお話。

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幸せな夢の中で

自分にとって都合の良い「夢」から覚めて、決してやさしくない現実と戦うというエピソードですがは、実際よくあるんですが、なぜかこの手のエピソードに私は引き付けられます。相手に夢を見せる能力なりなんなりは完全にファンタジーですが、現実と戦っていかなければならないのは、まさに物語の外のわたしたちもそうだから、なんでしょうか。

 

誰にでも逃げたいときはありますが、逃げずに戦おう、と決心する時の心の葛藤は、まさに自分の首を自分で撥ねるようなものなのかも。逃げたい自分を文字通り押し殺すというイメージでしょうか。並大抵の丹力ではないと思いますが、そこを踏ん張れる炭治郎はやっぱりすげぇや。

 

善逸や猪之助の夢は、なんだかギャグパート感がありましたが、欲望に正直なことでいいと思います。煉獄さんは夢の中で父親に認められるかと思いきや、そうではなかったですね。本人の願望が反映されてるなら、父親が炎柱になったことを喜んでくれるはずですから。そうすると本望は弟や後輩を導くこと・・・?

 

炎柱、暁に散る

鬼滅の刃ってキャラクターの株を上げるのがうまいなぁと思います。最初に出てきたときは大体「なんだこいつ...」ってちょっと嫌いになるけど、最後には大体好きになってる。まぁ、嫌いなまんまの奴とか、一周回ってある意味好きになる奴もいるけど。

 

柱なんかその最たる例で、「柱合会議」の時はだいたいみんな印象悪いじゃないですか。彼らの立場に立てば無理もないんですが、竈門兄妹に敵意むき出しですし。煉獄さんもそのうちの一人でした。

 

まあでも、煉獄さんは柱の中でもだいぶ良い人ですよ。産屋敷が認めてからは、決意表明してたしなめられる炭治郎を笑うことなく「いい心がけだ」って心の中で思ってくれてますからね。無限列車の中では継子に誘ってくれるし、過去の出来事を引きずることなく的確に指示を出し、呼吸による治療の指導もしてくれる。こう、カラっとしてて、まさに炎の人って感じ。

 

上弦の参・猗窩座との戦いでは、彼の戦闘力と精神力、そして高潔な散り際がよく描かれていました。当人の性格も、生き様も・・・。漫画内での出番も、まさに灯滅せんとして光を増すといいますか、本当に炎柱としてふさわしいお方でした。

 

でも、そんな煉獄さんも、決して最初から強かったわけではなく、何度も何度も折れそうになりながら、それでも自分を奮い立たせて戦ってきたんだろうなぁと思うんです。もしかしたら、あの大仰な言動も、素で「ああ」な部分と、自分のためにやってる部分があるんじゃないかって。

 

仮に、煉獄さんが何の苦労もなくここまで進んできたような人物だったとしたら、今わの際に「己の弱さにどれだけ打ちのめされようと胸を張って心を燃やせ」だなんて言ってくれないだろうし、夢の中で発言した「父上は喜んでくれなかった、しかしそんなことで俺は決してくじけない」「頑張って生きていこう、寂しくとも」も自らを鼓舞しているんだろうなって、改めて感じたんですよね。

 

煉獄さん、本当に強い男だった。

 

鬼滅の刃の一編として

鬼滅の刃』全編を通しての1つの謎である「ヒノカミ神楽」の正体に一歩近づき、その中で桁違いの強さを誇る上弦の鬼と出会う。その中で、戦いに身を投じるきっかけとなった家族への思いを振り切り、自分の先にいる人の生きざまを見て、また一歩一歩と生きていく。

 

ヒノカミ神楽を発現させて一山超えた炭治郎にとってまた次のステージに行くための試練の始まりでもあります。『鬼滅の刃』の中でもよく計算されてるし、完成度が高いエピソードなんじゃあないかと。

 

TVアニメの劇場版としては、なかなか苦い終わり方をした今回の『無限列車編』ですが... 色々と不安定な情勢の中で、それでも進んでいこうと、励ましてくれるような、そんな映画でした。まずは、美味しそうにご飯を食べるところから始めてみようかな!

 

 

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