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感想『ゴジラ』(1954) 【2019年5月鑑賞】

どうも、黒輔です。

 

最近Amazonプライム・ビデオにゴジラ映画シリーズが大量に追加されてまして、これを機に今まであまり見たことのなかったゴジラシリーズを見てみようかなと。

 

ゴジラ

 

ゴジラと僕

僕は世代的に、2004年『FINAL WARS』から2016年『シン・ゴジラ』の、ゴジラ空白期間を過ごしているんですよね。小さい頃ハム太郎と同時上映してたヤツを観に行った記憶が・・・ぼんやりとあるぐらい・・・

 

もちろん『シン・ゴジラ』は見に行ったし『GODZILLA (2014)』も後追いで補完しましたが、他にちゃんと見たやつは無いですねぇ。

 

怪獣に魅力を感じ、怪獣に詳しくなっていく少年というのも世の中には沢山いらっしゃいますが、僕はあんまり興味が湧かなくて・・・どうも幼少期〜中高生ぐらいの僕にとって怪獣はウルトラマンに倒されるキャラという以上の認識はなかったみたいです。(好きな方、すいません)

 

流石に全く知らんのもアレだなぁと思い、初代ゴジラくらいは見るか・・・という感じで鑑賞いたしました。折角なので、素人なりに見た感想を書いてみます。

 

シン・ゴジラ』の原点・原典として

まず率直に思ったのが、『シン・ゴジラ』って本当に『初代ゴジラ』の流れを汲んだ作品なんだ、ということ。

 

時系列こそ繋がっていない作品ですが、物語が淡々と?粛々と?進行していく雰囲気がとてもに通っているなと。もちろん、『初代ゴジラ』より『シン・ゴジラ』の方がよりドキュメンタリー風に張り切っているという違いがありますが、非常に似たものを感じました。

 

物語の大まかな流れもちょっと似てますよね。後年の映画のように他の怪獣と戦ったりしないで、出てくるのはゴジラ1体。一回出てきて海に帰るところとか、人間から攻撃を受けて熱戦を吐くところとか・・・ あと国会議事堂をぶっ壊す所なんかは「内閣総辞職ビーム」が頭をよぎりました(中の人たちは多分避難していると信じたいが) 

 

加えて、公開当時の決定的な厄災の後の社会を反映しているという共通点もあります。

『初代ゴジラ』は太平洋戦争の終戦から10年と経たない頃の映画という事で、当時の世相を思い起こさせるシーンが沢山ありますし、ゴジラそのものが戦争や原子力兵器開発による悲劇の象徴、もしくは怨念の具現化などとして描かれていますよね。かなりアプローチが直接的なんで、海外版ではカットされたセリフもあるんだとか。

 

対して『シン・ゴジラ』は東日本大震災及び原発事故から5年経った頃に公開されました。作中では、『初代ゴジラ』で山根博士が放ったような直接的なセリフはありませんが、あの圧倒的な破壊シーンや、ゴジラの発する放射線への言及を見て震災を連想した方も多かったはずです。

 

シン・ゴジラ』は僕の中でも結構好きな映画ですが、その重要なエッセンスがきちんとこの『初代ゴジラ』に流れているんだ!ということを確認できて、感極まれりでした(笑) オールドファンからしたらナンセンスな見方かもしれませんが、逆順で鑑賞した者の感想ということでひとつ。

 

芹沢博士の葛藤

人間ドラマの部分もなかなか深みがありました。オキシジェン・デストロイヤーの使用に葛藤し、そして悪用を防ぐためゴジラと運命を共にする芹沢博士。彼が自らロープをナイフで切ったカットでは思わず僕も声を上げてしまいました。

科学をどう使うか?というのはとても重大なテーマですが、この戦後間もない時期ということを考慮すると一層深みが増します。

 

恐ろしい兵器を世に送り出すのは絶対にしたくないが、目の前の悲劇も放置できない。芹沢博士というどこまでも善であり繊細である男がそれ故に悲劇的な結末を迎えてしまうのは、とても見ていて辛いものがありました。当時、「人間ドラマが不要ではないか」という批評があったそうですが僕は絶対必要だと思いますね。

 

同じく葛藤していた博士といえば、山根博士もそうです。「ゴジラは研究対象にするべきだ」という言葉は一見、目の前にある現実を見ていない発言のようにも取れます。

 

ですがゴジラを戦争や原子力兵器として置き換えてみると、「悲劇をただ避けたり、排除してしまうだけでは臭い物に蓋をするが如くであり、なぜそういう事が起こるのかをしっかり考えなくてはならない」というニュアンスにも取れてきます。だからこそ「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」というセリフに繋がるのではないでしょうか。

 

日本特撮の原点として

個人的にはしばらくCGCGアンドCGな映画ばっかり見てたんで、古き良きミニチュア特撮映像に触れるのは久々でした。

 

迫力は十分でした。山の向こうからゴジラの顔だけ見えるカットとか、巨大感バリバリでしたし、建物が爆発するシーンとかも凄い(語彙力・・・) 鉄塔がぐにゃりと曲がる所とかはどうやって撮影したんだろう? 

 

ちょっとだけ「流石に古いな〜」となってしまったシーンがありまして、車の転倒がおそらくストップモーションで表現されていると思うのですが、ちょっとチープに感じてしまったんですよね。味があるといえばそうなのですが・・・  

 

もちろん、総合的には凄い映像でした。きっと当時の人々は度肝を抜かれたでしょう。是非世代の人に感想を聞いてみたいですが、しかし、初代ゴジラ世代となると、少なくとも70歳よりは上の年齢の人なのか・・・

 

映像といえば、白黒映像というのもそれっぽさを増していて良いですよね。昔の戦争の記録映像なんかは大体白黒ですから。カラー映像が当たり前になった現代から観ると、ゴジラは決して空想の存在ではないぞと、そういう見方すらできるんじゃないでしょうか。それはそれとして、是非カラーでゴジラが暴れるシーンを見てみたいという思いもありますけれど・・・

 

 そんなわけで『ゴジラ』すばらしい作品でした。全部見るのはなかなか大変そうですが、これからもちょくちょくゴジラシリーズを鑑賞していきたいですね。

 

ゴジラ

ゴジラ